映画『ドニー・ダーコ』の感想|分からないのに頭から離れない、不思議なSF映画
1. 僕だけじゃないはず!!一回観ただけではよく分からない(笑)
いやぁ、正直に言おう。
この映画、一回観ただけではよく分からない(汗)。
普通のSF映画なら、ある程度は先の展開を想像できるじゃないですか。
「これは未来の話かな?」
「時間を移動するのかな?」
「なるほど、そういう仕掛けだったのか!」
なんて、観ながら自分なりに答えを探せる。
ところが『ドニー・ダーコ』は、そう簡単にはいかない。
謎が解けたと思ったら、また別の謎が出てくる。ひとつの出来事を理解しようとすると、今度は別の場面が気になってくる。
そして、観終わったあとに残るのが、
「結局、何だったんだ?」
という疑問(笑)。
もちろん、考察を読んだり、もう一度観たりすれば、いろいろな解釈ができる作品だと思う。
でも、初見で全部理解できる人って、どれくらいいるんだろう?
僕だけじゃないはず!!
物語の舞台は、1988年のアメリカ。高校生のドニー・ダーコは、ある夜、家を抜け出した先で、フランクと名乗る不気味な巨大ウサギに出会う。
そしてフランクは、ドニーに告げる。
世界が終わるまで、あと28日。
翌朝、ドニーが自宅に戻ると、なんと自分の部屋に巨大なジェットエンジンが落下していた。
もし、あの夜に家へ帰っていなかったら?
いや、そもそも、なぜジェットエンジンが落ちてきたのか?
そして、ドニーを救ったようにも見えるフランクは、一体何者なのか。
ここから、現実なのか幻覚なのかも分からない、不思議な出来事が始まっていく。
普通なら、こういう謎をひとつずつ解き明かしていくのがSF映画の楽しみだったりする。
でも、この映画は違う。
「分からないなら、自分で考えろ」
とでも言われているような感覚になる。
いや、もう少しヒントをくれませんかね(笑)。
2. 思春期の少年の孤独という視点で観ると、少し分かる気がする
ところが!!
この映画を、時間や宇宙の謎を解くSFとしてだけではなく、思春期の少年の孤独を描いた物語として観ると、少し違って見えてくる。
ドニーは、周囲の人間が当たり前だと思っていることに、いちいち疑問を持つ少年だ。
学校のルール、大人たちの言葉、宗教、正義、愛、人生。
みんなが正しいと言っているからといって、本当に正しいのか?
そんな疑問を、ドニーは簡単には飲み込めない。
これ、僕は結構好きなんだよね。
世の中には、「みんながそうしているから」「昔からこうだから」という理由だけで、正しいことにされているものがある。
でも、よく考えてみると、何が正しいのかなんて簡単には決められない。
大人になれば、周囲とうまくやっていくために、疑問を持っていても黙っておくことが増える。
面倒なことに関わりたくないし、わざわざ波風を立てたくもない。
まあ、僕もそういうところはある(笑)。
でも、ドニーは周囲の常識にすんなりなじめない。
家族がいて、学校に通って、友人もいる。それなのに、どこか周囲から浮いているように見える。
自分の考えていることを、周りの人間が本当に理解してくれるのか。
自分が感じている違和感は、自分がおかしいからなのか。それとも、周りが何かを見落としているのか。
そんな思春期特有の孤独が、この映画には漂っている。
もちろん、ドニーの行動をすべて正しいと言いたいわけじゃない。
ただ、周囲になじめない人間が、必ずしも間違っているとは限らないんだよね。
みんなと同じように考えられないことが、苦しみになることもある。
その一方で、誰も気に留めないことに疑問を持てるからこそ、見えてくるものもある。
そう考えると、ドニーが体験する奇妙な出来事も、単なるSFの謎だけでは片づけられない気がする。
世界がおかしいのか、自分がおかしいのか。
思春期の少年が抱えるそんな感覚と、この映画の不思議な世界観が、妙に重なって見えるんだよね。
3. フランクという巨大ウサギ。あの顔、絶対に近づきたくない(笑)
そして、この映画を語るうえで絶対に外せないのが、巨大ウサギのフランク。
いや、あれは怖いだろ!!
ウサギといえば、普通はかわいらしい動物を想像する。
ところがフランクは、全身こそウサギの姿をしているものの、あの顔を見た瞬間に考えが変わる。
「絶対に近づきたくない」
かわいいどころか、夢に出てきたら勘弁してほしいレベルだ(笑)。
しかも、ただ不気味なだけのキャラクターではない。
フランクはドニーの前に現れ、世界の終わりまでの時間を告げる。そして、ドニーを奇妙な行動へと導いていく。
でも、フランクは一体何者なのか?
ドニーの幻覚なのか。未来を知っている存在なのか。それとも、物語の中で起きている時間や現実の異変と関係しているのか。
ここがまた難しい。
フランクの正体を考え始めると、ドニーが体験していることそのものを、どこまで現実として受け取ればいいのか分からなくなってくる。
ただ、個人的には、フランクを単なる「怖いウサギ」で終わらせるのはもったいないと思う。
ドニーが抱えている不安や孤独、そして自分ではどうにもできない世界の動き。そうしたものを考えるうえでも、フランクは重要な存在に見える。
もちろん、これが唯一の正解だと言うつもりはない。
むしろ、この映画の面白さは、観た人によってフランクの見え方が変わるところにあるんじゃないだろうか。
それにしても、あのデザインはインパクトが強い。
映画を観終わっても、フランクの顔が頭に残っている。
謎が解けたかどうかは別として、あの巨大ウサギを忘れることはなさそうだ(笑)。
4. 28日間の意味とは?そして、考えれば考えるほど分からなくなるラスト
やっぱり、この映画の最大の魅力はラストだと思う。
もちろん、ここで詳しいネタバレをするつもりはない。
ただ、最後まで観ると、最初に提示された「世界の終わりまであと28日」という言葉が、ずっと頭に残る。
あの奇妙な28日間は、一体何だったんだ?
なぜジェットエンジンが落ちてきたのか。
フランクは何者だったのか。
ドニーが体験した出来事は、どこまでが現実だったのか。
ひとつの答えにたどり着いたと思っても、別の疑問が浮かんでくる。
こういう映画は、観客に答えを全部説明してしまうと、かえって面白さが薄れてしまうのかもしれない。
とはいえ、もう少し分かりやすくしてくれてもいいんじゃないか、という気持ちもある(笑)。
そして、忘れられないのが最後のドニーの笑顔だ。
あの笑顔をどう受け取るか。
すべてを理解して、納得した笑顔なのか。
それとも、何かを諦めた笑顔なのか。
あるいは、言葉では説明できない別の感情があったのか。
僕は、あの表情を観たあとも、簡単には答えを出せなかった。
ただ、そこまでのドニーの姿を思い返すと、あの笑顔には何かが込められているように感じる。
だからこそ、観終わってからも頭の中で考え続けてしまうんだろう。
ちなみに、この作品には、時間や宇宙に関する考え方を手掛かりに、物語を読み解こうとする考察もある。
そうした視点を知ってから観直すと、初めて観たときには気づかなかった場面の意味が変わってくるかもしれない。
ただし、考察を読んだからといって、すべてがすっきり解決するとは限らない。
むしろ、別の解釈を知ることで、さらに分からなくなる可能性もある(笑)。
この映画は、観終わった瞬間に完成するのではなく、観た人の頭の中で考え続けられる映画なのかもしれない。
5. 面白かった。でも、いつかもう一度観るかと聞かれたら……(笑)
正直に言うと、『ドニー・ダーコ』は万人向けの映画ではないと思う。
分かりやすいストーリーを楽しみたい人や、最後にすべての謎が解決してスッキリしたい人には、少々しんどい作品かもしれない。
SF映画として観ても難しいし、青春映画として観ても、明るく爽やかな気持ちになれるわけではない。
でも、こういう映画も悪くないんだよね。
観ている間は「何が起きているんだ?」と頭を悩ませ、観終わったあとも「あれはどういう意味だったんだろう」と考えてしまう。
映画の楽しみ方は、必ずしも答えを知ることだけじゃない。
分からない部分があるからこそ、自分なりに考えたり、ほかの人の感想を読んで「そんな見方もあるのか!」と驚いたりする楽しみ方もある。
僕は、こういう作品が嫌いじゃない。
ただし、何でもかんでも難解ならいいというわけでもない。
謎を残すことと、ただ分かりにくいことは違うからね。
『ドニー・ダーコ』の場合は、あの不気味な雰囲気や、思春期の孤独、現実が揺らいでいくような感覚が、謎と結びついているところに魅力があると思う。
だから、すべてを理解できなくても、何かが心に引っかかる。
そこが、この映画の不思議なところだ。
さて、最後にひとつ。
いつかもう一度観たら、今度こそ全部理解できるのか?
……と言いたいところだけど。
たぶん、もう一度は観ないと思う(笑)。
いや、嫌いなわけじゃないんですよ。
むしろ、観終わってからあれこれ考えさせられる映画として、印象には残っている。
でも、あの28日間をもう一度体験するとなると、ちょっと気合いが必要だ(笑)。
それでも、こういう映画を観て「分からなかった!」と言いながら、誰かの感想を読んだり、自分なりの解釈を考えたりする時間も、映画の楽しみ方のひとつなんだと思う。
一度観ただけでは分からない。
でも、なぜか忘れられない。
『ドニー・ダーコ』は、そんな不思議な余韻を残す映画だった。

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