映画『隠し砦の三悪人』感想|黒澤明×三船敏郎の痛快時代劇!スター・ウォーズとの関係

映画『隠し砦の三悪人』の感想

白黒映画と聞くと、ちょっと古くて、今の映画に慣れている人には退屈なんじゃないか。そんな印象を持つ人もいるかもしれない。

でも、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』は、そんな先入観を吹き飛ばしてくれる映画だ。

戦国時代を舞台に、姫と軍用金を守りながら敵陣を突破する一行。そこに加わるのが、欲深くて、ちょっと情けない二人の百姓だ。

そして、何といっても三船敏郎さん。

馬に乗り、敵に立ち向かい、豪快に刀や槍を操る姿が、とにかくカッコいい。

一方、物語を引っかき回す百姓コンビは、金に目がくらんだり、危険な目に遭うと逃げ腰になったり、なかなか調子がいい(笑)。

でも、この二人がいるから、映画が堅苦しくならないんだよね。

黒澤明監督の作品というと、少し難しそうなイメージがあるかもしれない。でも、本作は難しい理屈を考える前に、物語の勢いに引き込まれてしまう。

しかも、この映画には、あの『スター・ウォーズ』との意外なつながりもある。

今回は、映画『隠し砦の三悪人』のあらすじや見どころを振り返りながら、今観ても面白い理由を僕なりに書いていきたい。

映画『隠し砦の三悪人』のあらすじ|姫と黄金を守り、敵陣を突破せよ!

『隠し砦の三悪人』は、1958年公開の黒澤明監督作品。三船敏郎さん、上原美佐さん、千秋実さん、藤原釜足さんらが出演する時代劇だ。

物語の舞台は戦国時代。

隣国との戦いに敗れた秋月家は、城を失ってしまう。侍大将の真壁六郎太(三船敏郎)は、世継ぎの雪姫(上原美佐)と、国を再興するために必要な軍用金を守りながら、敵地を突破しようとする。

そこで登場するのが、太平(千秋実)と又七(藤原釜足)という二人の百姓だ。

戦に参加したものの、思うように手柄を立てられず、何とか生き延びようとしていた二人。ところが、ひょんなことから軍用金に関わることになり、六郎太たちと行動をともにする。

もちろん、二人が動く理由は、忠義や正義感だけではない。

金が欲しい。

できれば楽をして儲けたい。

危険な目には遭いたくない。

まあ、人間らしいと言えば人間らしい(笑)。

こうして始まる敵中突破の旅には、追っ手や思いがけない危機が待ち受けている。

一行は無事に目的地までたどり着けるのか。

あらすじだけを見ると、姫を守る侍の物語に思えるかもしれない。でも、この映画の面白さは、立派な侍だけで物語が進まないところにある。

むしろ、欲深くて頼りない百姓二人が加わることで、物語に笑いと人間臭さが生まれる。

偉い人間だけが歴史を動かすわけではない。

名もない庶民にも欲があり、恐怖があり、生き残りたいという気持ちがある。

この二人の存在が、映画をぐっと身近なものにしていると思う。

三船敏郎の真壁六郎太がとにかくカッコいい! 豪快な馬上アクションに見とれる

この映画の大きな魅力は、やっぱり三船敏郎さんだろう。

真壁六郎太という人物は、ただ腕っぷしが強いだけの侍ではない。

姫と軍用金を守り、秋月家を再興するという目的を背負っている。危険な状況でも簡単には取り乱さず、必要なときには大胆な行動に出る。

その姿に、頼もしさを感じるんだよね。

そして、馬上でのアクション。

これが本当にすごい。

馬を走らせながら敵と戦う。刀を振るい、追っ手を振り切り、危機を切り抜けていく。

さらに、敵方の武将・田所兵衛(藤田進)との槍を使った勝負も見どころのひとつだ。

今の映画なら、カメラワークや編集、CGなど、さまざまな技術を使って迫力を生み出すことができる。

でも、この作品のアクションには、身体そのものが動いている迫力がある。

もちろん、昔の映画だから何でもすごいと言いたいわけじゃない。

それでも、三船さんの動きには、画面越しでも伝わってくる勢いがあるんだよね。

大きな体で、堂々と敵に向かっていく。立っているだけでも存在感があるのに、馬に乗るとさらに迫力が増す。

いやぁ、こういう役者さんは、なかなかいないと思う。

黒澤映画というと、重厚で難しそうな作品を思い浮かべる人もいるかもしれない。

でも、この映画の三船敏郎さんは、そんなイメージだけでは収まらない。

豪快で、頼もしくて、時には少し乱暴。でも、守るべきもののために行動する姿には、素直に憧れてしまう。

こういう主人公がいるからこそ、物語が面白くなるんだろうね。

太平と又七の百姓コンビが最高! 欲深いのに、どこか憎めない二人

六郎太がカッコいい一方で、僕が面白いと思うのは、やっぱり太平と又七の二人だ。

このコンビ、とにかく人間臭い。

金があれば欲しくなる。うまい話があれば飛びつきたくなる。でも、危険な目に遭いそうになると、急に弱気になる。

観ていると、「お前ら、もうちょっとしっかりしろよ!」と言いたくなる場面もある(笑)。

ただ、考えてみれば、特別な訓練を受けた侍でもない二人が、命がけの脱出行に巻き込まれているわけだ。

怖いのは当たり前だし、自分の命が惜しいのも当たり前。

忠義や大義名分よりも、まず自分が生き残ることを考える。

それを情けないと笑うことはできるけれど、じゃあ自分だったらどうするだろう。

僕だって、いざ命が危ないとなったら、格好いいことばかり言っていられないと思う(笑)。

この二人を観ていると、人間には立派なところもあれば、情けないところもあるのだと改めて感じる。

しかも、二人は単なる笑わせ役で終わらない。

仲がいいようでケンカもする。お互いに文句を言いながらも、一緒に行動している。金に目がくらむこともあれば、目の前の危険におびえることもある。

こういう人物がいると、物語が急に身近になるんだよね。

英雄や侍大将の目線だけで描かれていたら、立派な人物たちの活躍を眺めるだけの映画になっていたかもしれない。

でも、太平と又七がいることで、戦国時代を生きる庶民の目線が加わる。

大きな歴史の裏側にも、自分の生活を守ろうと必死になっている人たちがいる。

その人たちは、必ずしも立派ではない。欲深いし、ずるいし、時には情けない。

でも、だからこそ人間らしい。

この二人のやり取りがあるから、緊張感のある冒険活劇の中にも笑える場面が生まれる。

僕は、こういう脇役がしっかりしている映画が好きだ。

主人公がカッコいいだけではなく、周囲の人物にもそれぞれの個性がある。だから、物語全体が面白くなるんだと思う。

『隠し砦の三悪人』の意味とは? 三悪人は誰なのか、雪姫の変化も面白い

ところで、改めてタイトルを考えると、ちょっと面白い。

『隠し砦の三悪人』。

三悪人と言われると、よほど悪いことをする三人組が登場するのかと思ってしまう。

でも、実際に観てみると、話はそれほど単純ではない。

太平と又七は、確かに欲深い。自分が得をすることを考えて動くし、立派な人間とは言いにくい。

けれど、二人は戦国時代を生きる庶民でもある。

戦に巻き込まれ、生活を壊され、何とか自分の命を守ろうとしている。そんな二人を、ただの悪人と呼んでいいのだろうか。

「三悪人」が誰を指しているのかは、観る人によっても解釈が分かれるところだと思う。太平と又七に加えて、六郎太を含めた三人と考える見方もある。

そう考えると、このタイトルは少し皮肉が効いている。

本来なら、姫を守る侍大将は立派な英雄として描かれそうなものだ。

でも、この映画では、欲深い百姓二人が物語の中心に深く関わってくる。

一方、雪姫もただ守られるだけのお姫様ではない。

気が強く、誇りを持ち、自分の考えを曲げないところがある。旅の中で、城の中にいるだけでは見えなかった人間の姿に触れていく。

そこがいいんだよね。

人間の美しいところも、醜いところも、実際に自分の目で見ていく。

立派な肩書きがあるからといって、立派な人間とは限らない。反対に、身分が低く、欲深い人間だからといって、すべてが悪いとも言い切れない。

もちろん、登場人物を現代の価値観だけで裁くのは簡単ではない。

でも、誰が正しくて、誰が悪いのか。そんな単純な線引きだけでは、人間の行動は説明できない。

この映画は、そうした人間の複雑さを、堅苦しい説教ではなく、冒険活劇の中に自然に織り込んでいる。

だからこそ、娯楽映画として面白いだけでなく、観終わったあとにも登場人物のことを考えてしまうのだと思う。

『隠し砦の三悪人』とスター・ウォーズの関係|1958年の映画が今も語り継がれる理由

『隠し砦の三悪人』について調べると、よく出てくるのが『スター・ウォーズ』との関係だ。

ジョージ・ルーカス監督が本作から影響を受けたことはよく知られている。特に、千秋実さんと藤原釜足さんが演じる百姓コンビは、『スター・ウォーズ』のC-3POとR2-D2の組み合わせを連想させる存在として語られてきた。

もちろん、『隠し砦の三悪人』と『スター・ウォーズ』は、物語も世界観も違う。

ただ、身分の高い人物や英雄だけを中心に描くのではなく、立場の低い人物たちの目線を通して、大きな物語を見せるという点は興味深い。

太平と又七は、国の命運を背負うような立派な人物ではない。

それでも、二人がいることで、物語の見え方が変わる。

英雄たちの活躍を少し離れたところから眺め、ときには騒動に巻き込まれ、ときには笑いを生む。

そんな存在が、物語を身近にしてくれるのだ。

そして、本作は黒澤明監督にとって初のシネマスコープ作品でもある。

横長の画面を生かして、馬が走る場面や広大な風景、群衆が動く場面をダイナミックに見せている。

火祭りのシーンなどは、画面いっぱいに人々の動きが広がっていく。その迫力は、今観ても印象に残る。

白黒で、公開からかなりの年月がたっている映画なのに、映像に勢いがあるんだよね。

昔の映画だからといって、古い価値観だけの作品ではない。

娯楽としての面白さ、人物の魅力、映像の迫力。今観ても楽しめる要素が、ちゃんと残っている。

『スター・ウォーズ』とのつながりを知ってから観るのもいいし、そんなことを知らずに、純粋に時代劇として楽しむのもいいと思う。

どちらにしても、1958年の映画が今も語られ、世界的な映画シリーズとの関係まで話題になるのは、それだけ作品の中に魅力が詰まっているからだろう。

まとめ|黒澤明の『隠し砦の三悪人』は、今観ても面白い痛快時代劇

『隠し砦の三悪人』は、黒澤明監督の作品のなかでも、娯楽映画としての魅力が詰まった一本だと思う。

三船敏郎さんの豪快なアクション。上原美佐さんが演じる雪姫の気高さ。そして、千秋実さんと藤原釜足さんによる百姓コンビの面白さ。

それぞれの人物が違う魅力を持っているから、物語が単調にならない。

敵陣を突破するという明確な目的があり、次々と危機が訪れる。それなのに、重苦しいだけではなく、笑える場面もある。

このバランスがいいんだよね。

黒澤映画というと、難解な作品や、じっくり考えながら観る作品を思い浮かべる人もいるかもしれない。

でも、この映画は、まず物語そのものを楽しめばいい。

誰がどう活躍するのか。二人の百姓がどんな騒動を起こすのか。六郎太たちは無事に逃げ切れるのか。

そうしたことを追いかけているだけでも、十分に楽しめる。

そして、観終わったあとには、登場人物の人間臭さや、タイトルの意味、スター・ウォーズとのつながりなど、いろいろな話題が残る。

こういう映画は、時代が変わっても面白いんだろうね。

白黒映画だからと敬遠している人にも、一度観てみてほしい。

三船敏郎さんの迫力あるアクションはもちろん、欲深い百姓二人のやり取りも、今観ても十分に楽しめると思う。

立派な英雄だけではなく、情けなくて欲深い人間まで物語の中心に置いてしまう。そこが『隠し砦の三悪人』の面白さなのかもしれない。

黒澤明監督の作品をこれから観てみたい人にも、入り口としておすすめしたい一本です。

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