映画『レオン』感想・ネタバレ考察|ジャン・レノとナタリー・ポートマンが描く切ない愛と衝撃の結末、孤独な殺し屋と少女の運命とは?

映画『レオン』の感想|こんなに不器用で、こんなに切ない映画があるだろうか

今更だけど、やっぱり『レオン』はいい。

何年経っても色褪せない。

アクション映画として面白いのはもちろんだけど、それ以上に、人と人とのつながりを描いた映画として本当に素晴らしい。

主人公は、ニューヨークで殺し屋として生きるレオン。仕事は完璧にこなすのに、生活はめちゃくちゃ不器用。牛乳を飲み、観葉植物を大切にし、決まった毎日を繰り返している。

そんな彼の隣に住んでいるのが、12歳の少女マチルダだ。

マチルダは家庭に問題を抱え、父親からも愛情を受けられずにいる。そして、ある日、家族を麻薬取締局の悪徳捜査官スタンスフィールドに殺されてしまう。

逃げ場を失ったマチルダが助けを求めた相手。それが、殺し屋レオンだった。

普通なら、殺し屋と少女の組み合わせなんて、なかなか想像できない。でも、この二人の関係がたまらなくいいんだよな。

最初はお互いに距離を置いているのに、少しずつ心を通わせていく。血のつながりもないし、年齢も立場もまったく違う。それなのに、二人の間には、家族とも友情とも簡単には言い切れない特別なものが生まれていく。

この映画の魅力は、まさにそこにあると思う。

レオンという男が、とにかく不器用で愛おしい

レオンを演じるのはジャン・レノ。

いや、もう、この役はジャン・レノ以外に考えられない。

殺し屋としてのレオンは冷静で、仕事に一切の妥協がない。相手を仕留めるときの動きには無駄がなく、プロとしての怖さがある。

ところが、普段の姿はまるで違う。

文字を読むのも苦手で、食事も簡単なものばかり。部屋の中では観葉植物に水をやり、椅子で眠るような生活をしている。

その姿を見ていると、本当にこの人が殺し屋なのかと思ってしまう(笑)。

でも、そこがいい。

レオンは人を殺す技術は持っていても、人と普通に付き合う方法を知らない。誰かを好きになることも、誰かに頼ることも、きっと経験してこなかったのだろう。

そんな彼がマチルダと出会い、少しずつ変わっていく。

マチルダに文字を教えてもらったり、一緒に食事をしたり、何気ない時間を過ごしたりする。そんな場面が、激しい銃撃戦よりもずっと印象に残る。

特に、レオンがマチルダを守ろうとする姿には、胸が熱くなる。

今まで自分のためだけに生きてきた男が、初めて誰かのために生きようとする。

それって、すごく大きな変化だと思うんだ。

人間って、何歳になっても変われるんだな。誰かとの出会いで、それまでの人生がまるごと変わってしまうこともある。

レオンを見ていると、そんなことを感じる。

ナタリー・ポートマンの演技がすごい!マチルダの強さと寂しさ

そして、忘れてはいけないのがマチルダを演じたナタリー・ポートマンだ。

これが映画初出演とは、とても思えない。

大人びた表情を見せたかと思えば、次の瞬間には子どもらしい不安や寂しさをのぞかせる。強がっているけれど、本当は誰かに甘えたい。そんな複雑な感情が、自然に伝わってくる。

マチルダは、ただ守られるだけの少女ではない。

家族を失い、ひとりぼっちになっても、自分の意思で生きようとする。レオンに殺しの技術を教えてほしいと頼む姿には、危うさもあるけれど、それだけ追い詰められていたということだろう。

彼女にとってレオンは、初めて自分を受け入れてくれた人だったのかもしれない。

ただ、マチルダの気持ちをすべて大人の恋愛感情として片づけるのは違うと思う。

彼女はまだ子どもだ。家族から愛されず、安心できる場所もなく、誰かに必要とされたいと願っている。そんな少女が、初めて自分を守ってくれた相手に強く惹かれていく。

その気持ちは、恋愛という言葉だけでは説明できない。

一方のレオンも、マチルダを通して人間らしい感情を取り戻していく。

この二人の距離感は、観る人によって受け取り方が違うかもしれない。だからこそ、簡単に答えを出せないし、そこがこの映画の切なさでもある。

ちなみに、ナタリー・ポートマンはこの作品のあと、映画界で大きく活躍していくことになる。後年の出演作を知ってから改めて観ると、彼女の原点ともいえる演技に驚かされる。

スタンスフィールドの狂気が怖すぎる!悪役として完璧な存在

この映画を語るうえで、もう一人欠かせない人物がいる。

悪徳捜査官スタンスフィールドだ。

演じているのはゲイリー・オールドマン。いやぁ、この人の怪演が本当にすごい。

スタンスフィールドは、単に冷酷な悪党というだけではない。感情の振れ幅が異常で、何をするのかまったく読めない。静かに話していたかと思えば、突然とんでもない行動に出る。

しかも、警察という立場を利用して悪事を働いているのだから、始末が悪い。

普通、映画の悪役には何かしらの筋が通っていることも多い。でも、この男にはそんなものを期待できない。自分の欲望や気分のために人を傷つける。

だからこそ怖い。

レオンがプロの殺し屋として冷静に仕事をするのに対して、スタンスフィールドは権力を持ちながら自分を制御できない人間として描かれている。

この対比も面白い。

そして、レオンとスタンスフィールドが対峙する終盤は、緊張感がすごい。ここまで積み重ねてきた二人の関係が、一気に結末へ向かっていく。

ゲイリー・オールドマンの存在感が強烈だからこそ、レオンの静かな覚悟も際立つんだと思う。

ラストの結末が切なすぎる!レオンがマチルダに残したもの

ここからは結末に触れたい。

終盤、レオンはマチルダを守るために、最後の決断をする。

自分がどうなろうと、彼女だけは生き延びさせたい。その思いが伝わってくるからこそ、最後の展開は本当に胸にくる。

レオンは、これまで誰かのために生きることを知らなかった男だ。そんな彼が、最後には自分の命よりもマチルダの未来を選ぶ。

そして、マチルダはレオンから受け取ったものを胸に、新しい人生へ向かっていく。

ここで忘れられないのが、レオンの大切にしていた観葉植物だ。

彼にとって、あの植物は単なる部屋の飾りではなかった。根を張る場所を持たず、いつも持ち歩いていたレオン自身のようにも見える。

マチルダが最後にそれを土に植える場面には、いろいろな意味が込められていると思う。

レオンがようやく居場所を見つけたこと。そして、マチルダが彼の思いを受け継ぎ、自分の人生を歩き始めたこと。

あのラストは、悲しいだけではない。

もちろん、レオンがいなくなってしまうのはつらい。でも、彼がマチルダに残したものは、決して小さくない。

人は誰かと出会うことで変わる。そして、その人がいなくなったあとも、受け取ったものは心の中に残り続ける。

そんなことを考えさせられる結末だった。

『レオン』は、孤独な二人が出会った奇跡のような映画

『レオン』は、殺し屋と少女の物語でありながら、実は孤独な人間が誰かとつながることの大切さを描いた映画だと思う。

レオンは、ずっとひとりで生きてきた。マチルダも、家族の中にいながら孤独だった。

そんな二人が出会い、お互いの存在によって少しずつ変わっていく。

世の中には、血のつながりがあっても心が通じない家族がいる。一方で、血のつながりがなくても、家族以上に大切な存在になる人もいる。

この映画を観ていると、人間にとって本当に大切なのは何なのか、考えさせられる。

それにしても、ジャン・レノのレオンは本当にいい。強くて、優しくて、不器用で、どこか寂しそうで。

そしてナタリー・ポートマンのマチルダも素晴らしい。二人が並んでいるだけで、何とも言えない空気が生まれる。

派手なアクションもあるし、悪役の怖さもある。でも、最後に心に残るのは、二人が一緒に過ごした何気ない時間なんだよな。

何度観ても、やっぱりいい映画だ。

まだ観ていない人には、ぜひ一度観てほしい。

しかもエンディングテーマが

スティング(Sting)の『シェイプ・オブ・マイ・ハート』(Shape of My Heart)

この曲が最高の最後を締めくくる。

 

孤独だった二人が出会い、ほんの少しだけ人生を変える。『レオン』は、そんな不器用で美しい人間ドラマだ。

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